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強化磁器について

「強化磁器」という言葉は、日常ではあまり耳にしないかもしれません。一般的な食器とは、どのような点が異なるのでしょうか。
強化磁器の特徴や試験について解説します。

強化磁器の定義

「強化磁器」とは、家庭で使うような一般磁器を強くし、割れにくくしたものです。
現在は、アルミナを混ぜて強化しているものが主流となっています。
ただし、原料の管理、素地と釉薬の相性によって同じ「アルミナを含む強化磁器」でも強さ、割れにくさには差があります。

強化磁器自主基準ガイドライン
(クリックで拡大します)

強化磁器の強度

素材自体の強さを表す「素材強度(曲げ強度)」と、製品そのものの強度を表す「製品強度(衝撃強度)」の2種類があります。

素材強度(曲げ強度)

試料の単位寸法あたりで計算して得られる強さで、食器の形や厚み、大きさ等に左右されない素材自体の強さです。

測定方法

曲げ強度試験(JCRS 203-1996準拠)

  1. 土を成形して焼成するか、製品から直接切り出して一定の長さの角棒を作成し、試験体とします。

    曲げ強度値は同じ材料、製法で作った製品であればほぼ変わりません。
    ただし、製品の形状によっては僅かに釉薬の厚み等が変化し曲げ強度値に影響するため、土から成形した試験体で測定した曲げ強度を素材曲げ強度、製品から切り出した試験体で測定した曲げ強度を製品曲げ強度と呼んで区別しています。

  2. 図のように力をかけ、試験体が破壊された時点での力の大きさを測定します。
  3. 測定した力の大きさ、試験体の寸法を次の式に当てはめ、曲げ強度を算出します。
  4. 割れた時点でのエネルギーを算出します。
※実際の使用ではあらゆる角度から衝撃を受けるため、食器の割れにくさは一定方向からの衝撃強さのみ測定している衝撃強度試験の結果とは異なる場合もあります。
製品強度(衝撃強度)

製品そのものの強度を表します。
食器の形や厚み、大きさ等に左右されます。

測定方法

衝撃強度試験(ASTM-C368-88準拠)

  1. 食器を、縁に真横からつり下げ式ハンマーが当たる位置に置き、固定します。
  2. つり下げ式ハンマーを食器に落下させ、打撃します。徐々に振り上げ角度を上げ、食器が割れるまで繰り返し打撃します。
  3. 割れた時点でのエネルギーを算出します。
※実際の使用ではあらゆる角度から衝撃を受けるため、食器の割れにくさは一定方向からの衝撃強さのみ測定している衝撃強度試験の結果とは異なる場合もあります。

安全性 溶出試験について

食器の使用中に、有害物質である鉛、カドミウムが溶け出すことがないか確かめる試験です。
食品衛生法では、溶出試験にて鉛、カドミウムの溶け出す量が以下の規定値を満たす食器は、使用しても問題がないとしています※1

※1 食品衛生基準法(平成20年7月31日厚生労働省工事第416号)より
試験方法
  1. 食器のサイズ(容量、深さ、面積)を測定します
  2. 食器の内側に4%酢酸(食酢と同程度の濃度)を満たし、24時間放置します
  3. 24時間放置後の酢酸を採取し、試験溶液とします
  4. 分析器で、鉛、カドミウムの濃度を測定します

※試験結果の「検出せず」は、分析器の検出限界であるカドミウム0.01㎍/ml、鉛0.1㎍/ml以下の濃度であるという意味です。
更に小さな濃度まで検出できる装置でなら鉛、カドミウムが検出できる可能性があるため0㎍/mlという表示にはなりませんが、ほとんどの食器の容量は1.1l未満であるため、その規定値であるカドミウム0.5㎍/ml、鉛2㎍/mlと比較して十分小さい値といえます。

急冷試験について

食器は、温度が変化することにより、僅かに膨らんだり縮んだりします。
急激に大きな温度変化があると、食器も急激に膨らんだり縮んだりすることになり、その衝撃で食器にヒビが入ったり、割れたりすることがあります。
急冷試験によって、食器がどの程度の温度変化があっても問題なく使用できるかを確かめることができます。

試験方法
  1. 食器全体にインクを塗り、インクの着色がないか確かめます。
    磁器食器は吸水性がなく、傷がなければインクで着色しないので、試験前にインクで着色がないこと、傷がないことを確かめます。
  2. 水温+試験したい温度差まで食器を加熱し、一時間保持します。
  3. 水に入れ、食器の温度を水温まで急激に冷やします。
  4. 食器全体にインクを塗り、食器に傷がないことを確かめます。
食器の温度と時間変化(150℃の温度差での急冷試験の場合)